前回の記事(天井裏で何か音がする?気のせい?)では、ねずみが天井裏に何のために侵入してくるか解説しました。今回は、ねずみがどこから入るかを生態も含めて詳しく解説していきたいと思います。
まずは敵(ねずみの種類)を知ろう
カピバラからハムスターまで様々なねずみが日本では野生で生息していたり、ペットとして飼育されています。野生のねずみでも様々な種類が「野鼠」として生息しています。
「野鼠」は鳥獣保護法によって保護されている為、業者では駆除できません。しかし、建物内に侵入してくるねずみは「家鼠」と言われ、3種類は駆除が許されています。
- クマネズミ
- ドブネズミ
- ハツカネズミ
中でもクマネズミとドブネズミはジャンプ力があり、自分の身長の10倍近くの90㎝程ジャンプします。そして、どのねずみも頭の骨が入ればお腹を引っ込めて侵入できる為、数センチの隙間があれば侵入可能です。共通して侵入経路になるのが建物基礎近くにある壁の500円玉程の隙間や通風孔です。どの種類のねずみであっても簡単に侵入してしまいます。
また、かじって隙間を広げるケースもあります。1円玉程の隙間がいつの間にか500円玉程の大きさになっているケースも少なくありません。
それでは種類別にどう侵入してくるか解説していきます。
立体的な動きが得意?クマネズミの正体
クマネズミの祖先は森林で生活しており、そこから広がったと言われています。森林で育ったDNAから縦の動きや、綱渡りが得意。これらの身体能力からクマネズミの代表的な侵入経路を推測してみましょう。
エアコン
エアコンは室内に設置していますが、エアコン本体と外の排水を繋いでいる「ドレンホース」周りの隙間が侵入経路となり、室内に侵入してくるケースがあります。エアコンのホースは立体的な構造になっているためエアコンの近くでねずみを目撃したらエアコンからの侵入を疑いましょう。
雨戸とシャッター
雨戸の戸袋が外付け(後付け)のお宅なら可能性は少なくなりますが、初めから戸袋があるお宅は構造上隙間が生じている事が多いため、注意が必要です。また、店舗や最近の住宅に多いシャッタータイプにおいてもクマネズミはシャッター近くに物が置いてあるとそれを足がかりにして侵入してきます。
屋根、軒下の穴
屋根にある隙間。大工さんや業者さん以外で見たことのある方は少ないのではないでしょうか。屋根下にある通気口カバーが外れ隙間がある場合があり、下に物干し竿やエアコン室外機などあれば立体的な動きが得意なクマネズミなら侵入可能です。もちろん屋根に穴があったら言うまでもありませんね。
特殊な状況なのでプロに見てもらう事をおすすめします!
水泳が得意?ドブネズミの正体
ドブネズミと聞いてみなさんは何を想像しますか?
やはり名前に「ドブ」がついているので下水などをイメージするのではないでしょうか。そのイメージ通り、泳げてしまうねずみなのです。ではドブネズミはどこから入ってくるのでしょうか。
トイレ
え?と思うかもしれませんが、トイレの排水管を渡り侵入してきます。私が担当したお客様で侵入経路(隙間)が全く掴めず、トイレからの侵入だった経験があります。これは侵入経路を防ぐことは出来ないのでプロにお任せ捕獲してもらいましょう。
建物基礎の隙間(通風孔)
ドブネズミはクマネズミと違い、立体的な動きが得意ではありません。侵入しようと思ったとき、なるべく簡単に侵入出来る場所のほうがねずみにも好まれます。そういった点では、建物基礎の隙間は立体的な動きが不得意なドブネズミでも侵入しやすいわけです。
床下
床下が土のお宅は床下の侵入経路も視野に入れる必要があります。ドブネズミは土に穴を掘り、営巣する場合があります。また、モグラのように穴を掘り進めることもできるので、駆除が難しいお宅も実際経験しました。
存在に気づけない?頭の悪いハツカネズミの正体
ハツカネズミはドブネズミ、クマネズミと比べて小柄です。また、ドブネズミやクマネズミと比較してあまり賢いとは言えないネズミです。捕獲は簡単にできるので、害獣駆除としては簡単な部類に入ります。都心ではあまり見かけなく、郊外に多いです。
「ハツカネズミが粘着板で捕まえられました。かわいそうと思ったお客さんは粘着板からハツカネズミを逃がしてあげました。するとそのハツカネズミはまた、同じ粘着板に引っ掛かってしまいました。」
小柄ならではの侵入経路
郊外の倉庫やスーパー、自宅にハツカネズミはどういった経路で侵入するのでしょうか。ハツカネズミ成獣は6㎝から10㎝といわれています。小柄なハツカネズミの侵入経路は500円玉では大きすぎます。1円玉程の隙間で侵入できてしまいます。
1円玉の直径は2㎝です。2㎝の隙間ってなんだろうと想像してみてください。
「壁の割れ目」「店舗シャッター下」「エアコンホース周り」「通風口」などでしょうか
こういった隙間があればハツカネズミは侵入してきます。
駆除は簡単なのに何故「家鼠」指定?
ハツカネズミはドブネズミ、クマネズミと比べ、頭が良くなく、駆除(捕獲)も簡単です。なのに「家鼠」に指定されている理由として「繁殖力の高さ」「飢餓に強い」といった特徴があります。
一度侵入を許したハツカネズミはその高い繁殖力から群れを作ってしまいます。簡単に駆除できるとは言え、群れを駆除するのは中々大変です。
閉鎖された倉庫内でも何か月も生きられます。(他のねずみは1日何も食べないと死ぬそうです)
そういった生態から少ない食料で繁殖できてしまいます。少なからず食料がある限り、完全駆除は難しいと言えますので専門のプロに依頼しましょう。
家のすき間がある場合はすぐ確認
今回は種類別で代表的な侵入経路を解説させてもらいました。
ここで紹介した侵入経路はほんのごくごく一部です。正直プロでも侵入経路にすごく悩みます。私自身、現地調査にお伺いして侵入経路の特定に一番時間を掛けていました。戸建て住宅でも様々な造りがあったり、敷地に何を置いているかによって侵入経路が変わってきます。
様々な侵入経路が考えられる為、この記事だけでは紹介しきれないのが正直な話です。
まずは専門業者を何社か呼び、見積依頼をしてみてください。その時に侵入経路をその業者に聞いてみてください。何社か呼べば、共通している所がでてきます。そして、共通している侵入経路とプラスアルファの侵入経路を複数特定した業者は技術面で高いと判断出来るため見積もりをオススメします。