気温があがり過ごしやすい季節になってくると、どうしても虫が気になりますよね。私も子供と外で遊ぶ時に気にしてしまいます。
5月ころから暖かくなり虫が活発に動き出すと、妻や知人によくこう聞かれます。
「この薬って本当に効くの?」
「この殺虫剤ってどうやって使うの?」
プロに頼むほどじゃないけど、虫が気になった事はありませんか?
この記事は市販殺虫剤について解説していきます。
対象害虫に合わせて購入する
「虫コナーズ」「虫よけネット」など、虫が家に入ってこないように謳っている防虫剤ってありますよね?箱の裏側をご覧になってみて下さい。
ほとんどの製品が「チョウバエ・ユスリカ」と記載されています。ではこのチョウバエとユスリカについてです。
チョウバエ
チョウバエはハートを逆にしたような姿をしていてお風呂場や洗濯機などの室内でも発生する害虫です。チョウバエの発生源が不衛生な場所である為、食品等に混入してしまう害が一般的です。
ユスリカ
よく公園や水辺で蚊柱になっている虫です。走光性(光に集まる)があり、家庭用照明のカバーに入っているのも良く見られます。
名前の最後に「カ」とありますが、蚊ではなく人を吸血しません。人が呼吸する時に一緒にこの虫を吸ってしまいアレルギーを引き起こす害が一般的です。
日常生活ではあまり気にならない虫!?
人により感覚が違うので気になる方もいらっしゃいますが、普段生活している上では特に気にしなくて良い虫です。なぜかというとこの2種類は吸血し痒みが発生しない虫だからです。
よく蚊の予防を目的に家に入ってこない製品を購入される方がいらっしゃいますが、実は効果がほとんどありません。
このように製品名だけで購入されてしまうと「この製品、効果ないじゃん!」ってなってしまいます。
駆除なのか予防なのか目的を明確にさせる
殺虫剤は大きく「駆除と予防」に分類されます。駆除は既に生息しているものを減らす目的です。
予防は今まで全くいなかったけど、もし侵入してきた場合に備えることが目的です。
駆除剤は即効性に優れ、薬を掛けた虫がノックダウンします。
ただ、ここで気を付けて頂きたいのが「ノックダウン」なので「復活する」場合があります。
ノックダウンしている間に回収してしまいましょう。
ゴキブリホイホイやガムテープでくっつけてそのままゴミ箱へポイするのもおすすめです。
予防剤は効果ない!?
予防剤は効果ないように感じる方が多いです。薬剤の有効期限もありますし、実際に対象害虫が入ってきても見かけないで死んでしまっていることがあるからです。
駆除業者は普段、取引先で駆除完了したら管理工程という形で「予防」をしています。
むやみに薬剤を使用するのではなく、粘着性のあるトラップや聞き取り、目視調査を主にしています。
1匹捕獲や目撃があった場合、予防的に薬剤処理をする現場が多いです。
製品(薬剤)を正しく使用する
製品(薬剤)を使用する上でこの3点は確実に守ってください!
- 有効期限に注意する
- 対象害虫に合った製品(薬剤)を選定する
- 用法用量を守る
これを守らないと効果が半減どころか、ほとんど効果が無くなってしまいます。「有効期限が切れている」「対象害虫と駆除したい虫が違う」「用量が圧倒的に足りていない」というのが大体の方の効かない原因です。
「対象害虫に合った製品(薬剤)を選定する」
駆除又は予防したい虫はなんなのかを知る事がまずは大事になってきます。
「当たり前じゃん」と思いますよね。
でも、先程実際に例に取り上げた吊るすタイプの家に虫が入ってこない製品は多くの人が「蚊」対策として購入されています。
消費者があまりにも誤認して購入するので、消費者庁が2015年2月に「表示に根拠がない」としてメーカー4社に措置命令を出したほどです。
しかし、メーカー側としては「チョウバエ・ユスリカ」と表記しています。嘘はついておらず、そのままとなっています。レジに向かう前に必ず製品裏側の「対象害虫」を確認しましょう。
「用法用量を守る」
駆除現場でお客様によく聞かれる事の1つに「この製品買って使ってみたけど効かなくってさ~。他にお勧めのない?」と言われます。話を聞いてみると、薬の量が圧倒的に足りない!という事ばかりです。
メーカーも駆除に必要な値を計算して表示をしています。
「〇㎡あたり〇gを目安に使用して下さい」
このような表示です。
料理をする時にレシピを見ながら作る場合、「100ml」必要の所、「小さじ1杯」だけ入れる人はいないと思います。とんでもない薄い味付けになってしまいます。
それと一緒で、駆除効果が出る量が決まっています。もちろん使い過ぎもよくありません。
- 規定量以上だと環境汚染に繋がる
- 規定量以下だと効果が出ない
必ず用法用量を守り正しく使用して下さい。
用法用量を守らないとほとんど効果がない
害虫駆除業者が使用している薬は効果も強く、即効性もありますが使い方を間違えると人体へ影響があったり、環境汚染に繋がってしまいます。もちろんそういった専門知識が必要な薬を売る場合は販売側が鍵の掛かった保管が必要ですし、購入時に身分証を提示してもらう必要があります。
一般消費者が購入できるものは薬事法を始めとする法律面でしがらみがあり、効果を抑えて作られています。ホームセンターや薬局、ネット等でそのまま会計できる製品はプロ用と比べ、薬剤の成分が薄かったりします。ですので、効果を発揮させる為に必ず「対象害虫」「駆除か予防か」「用法用量」の3点を守ってください。
市販薬もきちんと使えばしっかり効く
殺虫剤は業者用と比べてより安全に考慮された上で世に出ているわけですが、虫を殺すわけなので人体には少なからず影響します。
私が害虫駆除の会社で働いていたときは日常的に殺虫剤を取り扱っています。会社の健康診断では有機リン系の薬に被爆していないか検査項目を追加して診断を受けているほどです。
一般的に販売されているものはそこまで気にする必要はありませんが、正しい薬剤を正しく使えば確実に効きますので虫に悩まされずに過ごせますよ!